電波研究会#
電研の運営をまかされてから一年。まったく早いものである。二年の半ばから、三年のはじめまで、ぼく個人としては、いろいろのエレキ細工をやったが、ずいぶん研究会の方はなまけてしまった。
夏休み、我々の手に移った電研の仕事の最初は、一年に無線工学の基礎を教えることだった。幸い、ぼくはハムの試験のため相手の知識の持ち合わせがあったのが恥をかかなくてすんだ。
これで親愛なる電研の会員は、中学の電気の勉強には苦労しないだろう。
今年の電研の予算は六、五〇〇円、ちなみに去年のは一〇、五〇〇円、一ケタ違う。
この大幅に縮小された今年度予算で何を買うか少し考えたが結局グリッドディップメーターを買うことにした。
値設は、最も手項なので八、五〇〇円、予算は六、五〇〇円。
会費の方が相当にあるので、その方からお金をたしてグリッドディッブィーターを買った。この機械は一つあると十種類以上も使い道があるというまことに便利な機械だ。
主に三年生が自分で作ったオモチャを調節するのに使っている。
三年になるとすく新入生歡迎会があるので一月ごろから照明用のインターホンを作りはしめた。
いままでは、ミミッチく前の年のものを少しずつ手入れをして使っていたのだが、これがまことにくあいが悪い。
それで今年は、永久(?)使用できるように新しいシャーシーの中に全部いれてしまうという思いきった事をやった。
ところがこの機械、春休み中に完成したが調子が大変よろしくない。
会員の一人が家へ持って帰ってよく調べると、何と回路がデタラメな事がわかった。
なるべく多くの人に経験してもらうために数人が、よってたかって作ったためらしい。
すぐに組み立てなおしてケリ。
照明係りというのは、どういうわけか、電研の重要な仕事となっている。
この仕事は、一年生に非常なPRとなるので、いつも電研はインターホンを作りハデな線をはりめぐらして連絡に使っている。
今年の新入生歡迎会でも、インターホンは役に立った。劇練の時でも、扱い方が無線機
と似ているので(いろいろな都合から片通話になっている)照明係と関係のない者にいたずらされてごまった。
新入生歓迎会が無事に終ると今度は院戦だ。院戦の連絡係に数人の会員が任命されたので、去年のウラミをはらしてやろうと、みんなトランシーバー作りをはしめた。
ところが腕の悪いのと(特にぼくJQA)金のないのとで、うまく働いたのが一台きり。一台きりではどうにもならない。
それにくらべ学習院は資格のいらないシチズンパッドのトランシーバーを、十数台(一台一万円以上するから二十万円近い)を動員してきた。まったく金の力の差である。
負けおしみをいえば、学習院の連中の話しのしかたは完全に電波法違反だ。
電波法では、無線局同志の呼び出しは、初めに相手のコールサインを三回以下(たとえば新宿一四三号)、次にこちらのコールサインを三回以下となっている。
その他、いろいろ話し方についてのこまかいきまりがある。
もっともこれは負けおしみであって、実際はシチズンバンドの利用者は、なるべくかんたんに五分以内で話しをするようにとなっていて、法律を知らなくてもよいようになっている。
だからあれは、無線局ではないなんていうやつがでてくる。
無線局といえば、電研の宣伝には必ず出てくるアマチュア無線も、今年は二人の者が免許をとったが、二人ともたいへんなまけもので、ことにぼくなどはいまだに半分も局の設備ができていない。高校にはいったらなんとかするつもりだが。
これからもできたら毎年幾人かのハムができると、将来は学校にクラブ局が開けるかもしれない。
代々の責任者が、組織的に理論を教え込めば、クラブ局の条件である四人のハムもできない事ではない。
他の中学校でも数校ではあるが、クラブ局を持っている学校がある。
考えてみると、今年になってから電研はずいぶん低調になってしまった。
その責任はぼくにもあるが、次の責任者が、ぼくのマネなどしないで、電研をりっぱにして行く事をのぞむ。(ずい分無責任な話もあったものだ。)