電波研究会#
電波研究会過去二十年間の中で、今年の活動は、研究内容からいっても活動力からいっても大変に発展したものであったといえる。
昭和二十五年、そもそも電波研究会が発足した時は、「電波」に関する研究を行なう、というのが目標であったのに、最近は、オーディオ、すなわちアンプなど低周波を中心とする電気一般の研究を行なうようになっていた。昨年などは幽霊会員が多く、活動は不活発で、元会長〇〇さんがなんとか電研がつぶれないように努力し、引きつぎ前に「アマチュア無線」を研究課題に決め、我々がその後を継いでゆくことになったわけである。
さて九月に実際に活動をはじめようとしても会計簿その他重要書類はなく、会員相互の連絡もつかず、非常に苦労した。そこでまず活動を組織化するために、会誌<elektron>(こはく)を発行した。次に電研では前々から言われていた、学芸発表会を目標とした研究を行なっても、一般生徒に理解されない、という点を考え、電研独自の目標を定め、具体的な活動方針を決定した。目標―「国際的アマチュア無線活動を行なうことにより、技術的研究を行ない、さらに国際親善に努める。」しかしこれはあまりにも現実とかけ離れているため、その一段階として、今年は「自作と実力、協力と発展」を決めた。これは前記の最終目標を達成するには自分で作る技術が必要だからである。自作の機械による通信にこそ意義があり、我々電研の研究として価値があるのである。我々はこのモットーをもとにアマチュア局の装置を作った。ラジオ一台作るにしても、シャーに穴を開けるところから始めるわけである。完成までには、色々苦労があるが、放送の声が聞こえたときの感激はなんともいえないものである。
ところでこの「自作と実力」というモットーはこの一年間、電研にとって非常に重要なものであった。会員一人一人が自作の楽しさを知り、創造力を持つようになったこともあるが、それ以上に、会員に共通な「自作精神」によって全体が一つに統一され、協力しあい「組織力」を持つようになったことである。これが不活発だった電研の活動のエネルギーとなったのである。「自作は実力を生み、協力は発展につながる」という意味のこのモットーこそ、今年の電研の活動力のもとになったのである。
このようにして電研は誠に活発になり、局装置を作りはじめたわけである。会誌は毎月発行され、五月には新一年生が十四名入会した。会員数三年 五人、二年 七人、一年 十四人、予算、九一〇〇円、八四〇〇円、二二五〇〇円という数をみてもその成長がわかるであろう。一年生は自作力をつけるため、ラジオのおもしろさを理解するため、初歩的なラジオを一人一台作った。夏休みには東芝の真空管工場を見学。九月には、今年の目標であったアマチュア局を開局し、引きつぎを行なう。このようにして電研は例年になく活発になったわけだが、今後、さらに規模を拡大し、自作技術と全員の協力を基礎とする、国際的アマチュア活動を実現するであろう。
最後に一年間お世話になった〇〇先生、本当にありがとうございました。